フライ

散歩する侵略者のフライのレビュー・感想・評価

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
3.8
冒頭の凄惨なシーンからかなりヤバイ作品をイメージしたが、ラストまさかのふわっとした温かくなる展開に優しい気持ちになれた。
地球を侵略する宇宙人を一風変わった視点から描いた内容はとても斬新で、ストーリーが進めば進む程見入ってしまった。宇宙人と言っても姿形の無い三人の宇宙人が人間に取り憑き、人のもつ言葉の”概念”を奪い地球を侵略する荒唐無稽な内容なのだが、中々考えられたストーリーは地味だがとても楽しめた。概念を奪われるとその言葉の持つ感情や記憶が無くなるので可笑しな行動や言動がシュールで見ていて面白かったし、随所に色々と刺激的なシーンも入るのでアクセントにもなっていて飽きなかった。
キャストそれぞれ良かったが、何とも言っても、宇宙人に憑かれた松田龍平と妻役の長澤まさみとの夫婦設定は二人の持つ雰囲気の秀逸さでラストとても優しい気持ちになれた。
言葉の概念にスポットを当てる突拍子も無いストーリーは面白かったが、言葉や物の持つ共通した概念が有るからこそコミュニケーションや感情が産まれる大切さを改めて認識させられた不思議な作品だった。
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