やわらか

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?のやわらかのネタバレレビュー・内容・結末

2.6

このレビューはネタバレを含みます

昔の実写映画の方は観ていないので、単品のアニメ映画としての評価です。内容的にはシンプルな時間ループモノで、「セカイ系」などと大仰に呼ぶほどでもない感じ。80年代~90年代前半のOVAとかでありそうな。最後の解釈はある程度お客さんに投げているのかなと思った。一番問題なのは、何でヒロインの父親があの玉持ってたのかだけど、特にそれに関する描写はなかったよね。
 
見どころとしては、まず絵柄的に全般”綺麗”を貫いているので誰でも見易い。あと、やはりヒロインが声含め可愛い。作品中何度か「お色直し」をして、その度に違った表情と言うか大人になって行く感じは、一定の評価はされるんだろうなと思う。自分の好みではないけど、歌もウケが良さそう。
 
一方で、主人公がイマイチパッとしなかった。原作のアレンジし方の問題かもだけど、何で主人公とヒロインがくっつくのかピンと来ないし、そこが薄いから最終的に優柔不断な態度を変えた理由が「可哀そう」に見えてしまった。それなら、くっつくにせよ離れるにせよ、青春の一ページと言うことで過去に流してしまった方が自然なような。
 
他の脇役も配役が豪華な割に観どころがない(例えば松たか子のお母さんとか)のでもったいない。これでは、営業効果を期待して参加していただきました、と言われてもしょうがないんでは。
 
あと、「まどかマギカ」であれだけ独自の世界を作り出していたイヌカレーも本作では空回り気味。関わってそうなのは、玉とか妙にメタリックな世界と、花火とかだと思うけど、背景の絵とあまり馴染んでない気がした。まあ、肩書きが「デザイン協力」なので使い方が悪かったのかもだけど。
 
この作品、ざっくり言うと「君の名は。」と同じ層(大ヒット前に当初想定の層)を狙っていたと思う。けど、中途半端に世代の違う原作や、元の良し悪しは別として黴が生えた骨董的テーマ曲に引きずられたせいか、全体的な質の詰め方で全く及ばないので、特別な作品にはなれないんじゃないかと思った。
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