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真白き富士の嶺の3104のレビュー・感想・評価

真白き富士の嶺(1963年製作の映画)
3.3
実際に起こったボート事故が題材の曲「真白き富士の根」。それを題材にした映画はこの時もうすでに松竹と大映が作っていたそうだが、今作はタイトルこそ同じだがそこからは設定を一部借用(とはいえ上手く“借りて”物語に組み込んでいる。うーんでもラストの浜田光夫の扱いは蛇足だ・・)するにとどまり、太宰治の『葉桜と魔笛』を原作としている。

一言でいえば「難病モノ」。だが肝心の病に侵されている吉永小百合が顔まんまるで病人ぽく見えず、やはり(他の同時期の作品と同じく)野暮ったいおばさんに見えてしまう。サユリストの方がいらしたらごめんなさい。どうしても日活の先輩女優~北原美枝、芦川いづみ、笹森礼子、浅丘ルリ子等~に比べるとフォルムや立ち姿、所作がシャープさに欠け、あと何より声と話し方が余計にそう、洗練されていないように思わせてしまうのである。

映画に話を戻すと、難病モノに姉妹愛、そしてそこはかとなくミステリー要素をまぶして手堅くかつしっとり仕上げた感じ。妹の小百合より彼女を気遣う姉のいづみ嬢のほうが出番は多い、そして美しい。ところどころカメラワークが冗長なのが目についた。カラーで観たかったなぁ。
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