おなべ

ぼくの名前はズッキーニのおなべのレビュー・感想・評価

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)
3.7
とある人が「これは大人向け映画だ」と…確かに大人向け映画です。複雑な家庭事情を持った子ども達が共生する孤児院での成長物語。無駄を一切省き心理ドラマを極力切り詰めているので、66分と短いですが観てみるとさらに短く感じるほど魅入ってしまいます。

繊細な質感に加え本物の人間味を帯びているかのような表情や目つき、ストップモーションアニメならではの表現方法を隅々まで存分に活用していました。小さな部分まで丁寧に、尚且つ語らずとも表情や立ち振舞いだけで心情が伝わってきて、そういう描き方がかなり巧かったです。

素朴で純粋な子、人の物を盗む子、根暗な子、意地悪な子…etc、複雑な事情を抱える子ども達がいっぱいいて、似たような境遇の子どもと共生する事で互いに学び、励ましながら生きている。この子達を見ていると、どうしようもないという行き場を失った感情に胸が締め付けられます。

特に雪山で幸せそうな母子を見つめる子ども達の羨望の眼差しは刺さりました。
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