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夜は短し歩けよ乙女のyunumataのレビュー・感想・評価

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)
5.0
傑作。とにかく傑作。今年はこれ以上の映画を観られる気がしない。最高!! ああ、最高の脚本、最高の役者、最高の音楽、最高のアニメート、最高のユーモア、そして極上の演出。前代未聞すぎる圧巻のクライマックスまである。正に至高の90分だった。
色々なものがハチャメチャで、場当たり的で、夢みたいで、狸に騙されているような、そんな錯覚を覚える作品だと思う。けれどそんな嘘みたいな熱に浮かされた夜に、人生の真理みたいなものを見る瞬間って確かにある。どんな文学作品を読んでも、どんな『名画』に出会っても、なぜか知りえないような「すべての答え」みたいなものが、この映画には記録されているように思えるのだ。
言い換えれば、この映画は決して『名画』ではないと思う。100年先に残る文豪の大作でもないし、エヴァーグリーンでドラマチックな劇映画の感動があるわけでもない。ぜんぜんない。例えばむしろ、旅先のお店で飲んだ、あの忘れられないお酒みたいな……お店の名前もお酒の名前も、そもそも場所もまるで覚えてないけれど、なぜかその印象だけが朝目を覚ましてもぼんやりと残り続けるような……そういう体験に近いような気がした。あまりにも全てが最高で、気分が良くって、この夜は、この夜だけは、もっと人生って素晴らしくて、どんな人とも肩組んで笑い合うことって可能で、全ての縁で人間同士は結ばれていて、一生ってもっと短いんだって、そう信じられるような……。一生に一度の夜、一生は一度の夜。だから歩き続けるんだね。夜は短し、歩けよ乙女!!
花澤香菜、歌うまい!

劇場(2017.04)
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