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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのpanpieのレビュー・感想・評価

3.8
アカデミー賞で助演女優賞を受賞したアリソン・ジャネイを観たくて鑑賞。
ナンシー・ケリガン襲撃事件はなんとなく覚えていた。
事件の真相とトーニャがその後どうしているのか知りたかった。


トーニャ・ハーディングはアメリカで初めてトリプルアクセルを飛んだフィギュアスケーターだそうだがオリンピック枠をめぐって起きた傷害事件は今まで聞いた事がなかったので当時驚いた事を覚えている。
襲われたナンシーケリガンが実際にまた凛とした美しさで背も高くスタイルも良くてアメリカ代表に相応しいイメージでそれと全く対照的なトーニャ・ハーディングは背が小さく筋肉質で日本人の様にずんぐりとした体型ででもスケートにパワーがあった事は覚えている。
トーニャの顔が思い出せなくて思い出そうとするとマーゴット・ロビーになってしまう。
それ程イメージが合っていた。
マーゴット・ロビーは「スーサイドスクワット」しか観た事がないので今作で化粧が多少派手でも全然派手に思えなかった。
スケートがとても上手だったのでジャンプなんかは勿論加工されているとは思うがマーゴット・ロビーはかなり練習したのではないかな?
あの事件を語るにはトーニャの生い立ちから関わった人達、事件に至った経緯を描かないと分からなかったかもしれない。




↓ここからネタバレあります。↓





トーニャは複雑な家庭に生まれた。
母親のラヴォナは再婚、離婚を繰り返しトーニャは確か4番目の夫の子で4歳から始めたフィギュアスケートで頭角を現す。
子役があの「ギフテッド」のマッケナ・グレイスちゃんだった!
相変わらず大人顔負けな素晴らしい演技を見せてくれて父親が出ていく時の「私も連れて行って!置いて行かないで!」と泣いてすがる演技にもらい泣きしそうになった。
それにしてもラヴォナは美しくもなく毒舌だし何故そんなに何度も結婚できるのか謎だったがトーニャのスケートの才能を確かに伸ばしたと言える。
決して裕福な生活とは言えずスケートをしている周りの子が裕福な子が多かったのに貧しいトーニャは目立った。
自前で衣装を縫っていたとは知らなかった。
周りの子はあからさまに馬鹿にするがそれは彼女の才能を妬んでのこと。
古いしきたりの横行するフィギュア界で出る杭は打たれるが如く貧しく派手で実力がありそれまでのスケーターと違う異端なトーニャは何かと目立った事だろう。
フィギュアはお金持ちじゃないと習わせられないと聞いた事があるけどもし子供に物凄い才能がある事が分かったら親なら全財産叩いてでも習わせるんだろうな。
うちは普通で良かったけど。笑

結局トーニャはあのDVダメ男にナンシーを襲う様に指示したのだろうか?
そこが最も知りたい所だったのだけど映画を観るとそこがグレーだった様に思った。
それぞれの言い分が違った。
ダメ男もその友達もイカレててあんな男に引っかかった時点でトーニャの未来は見えていた。
寄りを戻そうとDVどころか銃を発砲するような男はダメじゃん。
なんで許すの、そんな奴。
ラヴォナはスケートに関しては厳しかったけどダメ男との交際にはあまりうるさく言わなかった気がする。
もしかしたらあんな奴等と付き合ってなくて重圧もなくナンシーと実力で最後の対決した時に平常心で滑れていたらトリプルアクセルを飛んでオリンピック選考を軽々とパスしたのかもしれない。

それにしてもラヴォナを演じたアリソン・ジャネイの本物のママへの寄せ方が半端なく似てて、でもアリソン・ジャネイの方がやや迫力あったのだけど本物のママは本当にインコ?オウム?を肩に乗せてたんだと知って笑ってしまった。
凄いインパクト!
見に来た甲斐がありました。笑


子供には二通りあって褒めて伸びる子と叱って伸びる子がいる。
トーニャはラヴォナが言う様に叱って伸びる子だったんだね。
それにしても最後のマスコミに追われ一人孤独に衣装を縫っていたトーニャを訪ねて行ったラヴォナとの抱擁にうるっと来たが上着のポケットにレコーダーを忍ばせてるってなんて母親!
マスコミに売るつもりだったの?
あんな時に母親なら優しくできないもんかね。
本当にトーニャが可哀想だった。
普通に愛されていたら早くに家を出たりあんな男に引っかかったりしなかったのかなとも思ったけどあのママだったから才能が開花したのかもしれない。
運命の皮肉。

冒頭がややふざけた感があり「観るの間違えたかな」と思う程の早いカット割りとコメディ感を感じたがなかなか中盤から引き込むストーリー展開だった。
彼女の絶頂期がエンドロールで流れてあぁこんな顔だったかとやっと思い出した。
トリプルアクセルを飛べた時のあのガッツポーズは本当に心から喜んで弾ける様なあの笑顔も思い出されて才能があったのに色々と恵まれない不運なトーニャの笑顔を見てたら涙が滲んだ。
マーゴット・ロビーは近日公開の「死の谷」で主演するそうなので厚化粧ではない彼女を見るのが今からとても楽しみだ。
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