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犬ヶ島のchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
3.5
ウェス・アンダーソンの日本愛・邦画愛が伝わってくるアニメ作品🗾実写以上に細部まで圧倒的に作りこまれた世界観、ちょっと不思議な日本描写に目をパチパチさせられてしまう映画です😮

「犬ヶ島」っていうくらいなので、犬がたくさん出てくる。皆さん犬がかわいいと書かれていますが、私的には「え、犬かわいくない...」というのが正直な感想です😅あと、主人公の子供も全くかわいくない...

日本の近未来という設定で作られた世界。ストップモーションアニメということで、実写と異なりセットデザインを現実のモノで構成する必要がないので、いつも以上にウェス・アンダーソンの思い描く世界が一から映画用に作られていて、その細部にわたる拘りはただただ圧巻!なにげに驚いたのが高校の黒板に書かれている文字。単に自然な日本の手書き風フォントとかいうレベルじゃなく、完璧に女子高生が書くギャル文字になっている💮一体、どこでこんな情報仕入れてきたんだろう?

カメラワークも、平行移動などいつものウェススタイルですが、こちらも物理的制約がないのでいつも以上に"らしさ"が出ています😊ただ、彼の画面の特徴が元々"二次元的世界"だから、それをアニメで再現したところでむしろインパクトは落ちているかも。

全体に、日本の描写がとても不思議。そもそも全く近未来感はないし、確かに「西洋から見た変な日本」、「ウェス風にデフォルメされた日本」という要素もあるけれど、なんかそれだけでは説明できないオカシさ。で、途中で気づく。これ、ウェスが何で日本を学んだかというと、古典、アニメ、ヒーロー・怪獣、時代劇からヤクザ&ヤンキー映画に至るあらゆる分野の日本の古い映画たちだ!それらをごった煮にして「日本」を捉えた結果がこの映画の世界なんだと。いやぁ、まさかの邦画愛やねぇ。

犬は英語を話していて、人は日本語で、通訳や字幕が入るというスタイル。えっこれ、日本語皆さん聞き取れました?私は全然... ムシャムシャ何言ってるか半分も理解できない🤔そんなこんなで画面に散りばめられた日本語・英語の文字・音声にアタフタしているうちに、最近のウェス作品の御多分に違わず、登場人物の感情に共感できずに終了。

2018年の作品で、トランプ政権時代に抱える人々の不安な気持ちが、近未来日本の架空の島という全く関連ない世界にうまく落とし込まれているのが高評価の理由でしょうか。が、今観ると、2020年の大統領選やワクチンに関する陰謀論を見事に予言しているようにも見えます!最新作では、コロナ禍・隔離生活で人々が見直した価値観・人生観が映画に落とし込まれていたし、ウェスって以外と社会派?独特の映像だけでなく、そんなところにも今後注目していきたいと思いました✨
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