りっく

犬ヶ島のりっくのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
3.7
ウェスアンダーソンしか作り得ない世界観が炸裂した奇作。日本は舞台にしていながらも、何かを忠実に再現するのではなく、オリジナリティに満ち溢れたビジュアルを、異常な細部のこだわりまで、目を凝らしてしゃぶり尽くしたくなる。

ただし前作「グランドブダペストホテル」のような活劇的な面白さは希薄で、犬を排除することで政権を強固にする陰謀論が中心にあるものの、物語の語り口も高速なため、まるで説明書を一方的に読み聞かされているかのような感覚になる。せっかく「七人の侍」はじめ黒澤明オマージュに満ち溢れているのであれば、表面的ではなく、その活劇性や娯楽性を引っくるめて描いて欲しかった。
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