♪ TWO SLAVE、TOO SLAVE
砂になる 殺し合う 青い月 嘆き合う
タイトルで全てが語られている作品。
…なのかどうかはともかく、刺激的なタイトルですよね。なんと事実を基にした作品です。いわゆる韓国お得意のパターン。いやぁ、怖い国ですな。
しかも、物語の大半はPOV。
リアリズムを求めるために”もっさり”とした展開なのですが、その鈍さが微妙にイヤな感じを醸成しているのです。
また、主人公に共感させない筆致なんですよね。「真実を求めたい」「困っている人を救済したい」そんな想いは伝わってくるのですが、言葉が足りないので、その姿勢を疑ってしまうのです。
だから、基本的には不安定な展開が続きます。
物語としても、退屈と興奮の絶妙な隙間を縫ったプロットなので「この物語は何処に向かうのか」と、ふと我に返ることもありました。創作物として微妙な温度なんですよ。
思うに、この“微妙さ”は天然ですね。
直球を活かすために変化球を投げているのではなく、変化球を投げたいから変化球を投げているのです。
そして、製作者はその“ズレ”に気付いていません。劇中で、マスコミを言外に批判していますが、自分たちもその中に入っているわけで(映画なんて印象操作の道具として最適ですから)。ある意味でコメディとして観ることも可能な作品です。かなり自虐的で真っ黒ですが。
だから、ネタバレは読まないほうが楽しめます。タイトルだけで先入観は生まれますから、そのイメージを大切にして臨んだほうが良いのです(言い換えれば、結末を知らないと楽しめない人には無理)。
まあ、そんなわけで。
横の変化球が主流の韓国で懸命に投げたフォークボール。思わず振ってしまうのか、それとも見逃すのか…それは各自の選球眼次第ですが、岩鬼(by『ドカベン』)並みの悪球打ちなら積極果敢に狙ってほしい作品です。グワァラゴワガキーン!