emily

ダーン・ディールのemilyのレビュー・感想・評価

ダーン・ディール(2015年製作の映画)
3.8
 余計な事をしゃべりすぎた同僚を始末することになる。カフェに呼び出して、帰り道で実行するつもりだったが、なかなか同僚が動こうとせず・・

 たった9分の短編でありながら、男の背景もしっかり詰め込み、ある者には他愛もない話、しかしある者にはありえない間違えをスリリングな密室での会話と、対照的な男二人の空気感で描き、緊迫するなかにゆるやかな独自の間が笑いを誘い、不穏な可笑しさに包まれていく。男の不穏さと同僚の落ち着いた態度の掛け合いは良いテンポを作り、会話のチョイスもセンスを感じる。そこからの唐突な畳みかけと、投げ捨てるようにラストを迎える開けた解釈の提示から、いろんな想像が広がる。同僚ははじめから気が付いていたのかもしれないし、そうではないのかもしれない。しっかり物語は展開し、驚きが電話の鳴り響く音とともに、長く余韻を残してくれる。これは9分だからできた作品だし、それだから面白い。9分をフル活用した作品だ。
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