emily

配管工とポルノ映画のemilyのレビュー・感想・評価

配管工とポルノ映画(2016年製作の映画)
4.0
友人の代役を頼まれたオランダ人の吹き替え俳優。しかし作品はポルノ映画だった。干拓2人とカトリーヌのアドバイスでどんどんのせられ、作品は良い出来で仕上がる。

口元のアップ、音楽が止まりクレジットタイトルを切り替えていく。男と女の出会い、スタイリッシュに口元の目元へアップで見せていき、アフレコを作り上げる一体感、心がしっかり繋がっていく様を二分割の画面で撮る側の男と撮られる側の男女を組み替えて行く。

作品の温度がどんどん上がっていく様を画面とリズムカルな音により切り取っていく。出される音は撮られる側だけでなく、監督側もマイクを自分に向ける時に発する音が早くなることで、うまく興奮度を描写している。終わった後は作品を鑑賞するみんなを観客は鑑賞するという、しっかり枠組みを作ってくれている。さらに虚構が現実に繋がっていく、麻痺された感覚がそのまま現実になだれ込み、されにそれも虚構である様を示すタイトルコールの皮肉な終わりがいい。

終わりであってどこまでも何度でも続いていくことを予感させる。2人の吹き替え俳優の丸みを帯びた適温な体格と対照的な監督の潔癖具合の切り替えが面白く、なかなか濃厚な作品になっている。ちなみに白黒で良かった。カラーだったら気持ち悪い。
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