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三度目の殺人のfuoのネタバレレビュー・内容・結末

三度目の殺人(2017年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

嫌な後味が残る作品でした…。

重盛(福山雅治)は、殺人を犯した三隅(役所広司)の弁護を担当する弁護士。二転三転する三隅の供述。裁判に勝つという目的達成のためなら真実など二の次だと言わんばかりの重盛ら弁護士の態度。真相が見えぬ中で、三隅に言い渡される判決とは…。

まず、役所広司が素晴らしかったです…。『うなぎ』(1997)や『すばらしき世界』(2021)などでも殺人犯を演じていますが、本作でも圧倒的な存在感があります。今回はどこか超然的な人物で、得体の知れない不気味さが堪りませんでした。

内容については、日本の司法制度の問題点に触れながら、人の命を裁く行為の倫理観について強く問われているような印象を受けました。同時に人を信じることの難しさも感じます。

人の命が掛かっていながら、肝心の真実よりも効率性や勝敗の行方が重んじられる裁判の動き。関係者の利己的な行動の末に死刑判決が下される理不尽さ。人間が人間を誠に裁けるのか…そんな訴えがあったと思います。

観賞後は「三度目の殺人」という言葉も重くのしかかってきました。
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