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正欲のfuoのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.6
特殊性癖を持つ人が周囲から理解されないことで抱く生き辛さにスポットが当てられた作品。

少数派の立場の苦しみが丁寧に描かれている印象で、こういう作品が世に出てきてくれるのが嬉しくも感じました。

例えば、交際相手を作らない人への疑問として「もしかして同性が好きなの?」と聞いてしまう場面。質問者の前提が通らない相手がどのように思うのかという点にも触れられていたのが印象的です。それってあなたの中での普通なんだよと。

ラスト場面で、桐生(新垣結衣)が検事(稲垣吾郎)に対して、淡々と放つ言葉も重みがあって良かったです。

「自分がどういう人間か人に説明できなくて息が出来なくなったことってありますか?」

「生きるために必死だった道のりを「ありえない。」って簡単に片付けられたこと。ありますか?」

自分のアイデンティティが世の中にはまるで無いもののように扱われることや、相手の普通を押し付けられ続けることで、生きている心地もしない人間が世の中にはいること。大きく共感できる作品でした。
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