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三度目の殺人のsacoのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
3.5
“藪の中”なのか....でも、いく通りもの真実が見えてくるような心理サスペンスだった。
殺したのか否か....そこが問題ではない。そこに至るまでのプロセスに、複雑な背景や心情が絡まり、簡単には割り切れない思いが存在する。

犯人三隅(役所広司)と対峙する重盛“福山雅治)が、事件の深淵に潜るに従い、咲江(広瀬すず)の存在を介して三隅に絡みとられ操られてゆく様が巧みに表現されていたと思う。現実と妄想の狭間で確信と思えたものが揺らぐ。

ラストの接見シーンで三隅と重盛の横顔が重なるところは、重盛が三隅の心底に最接近した感じが良く表現されていて巧いなぁと思った。
「あなたは器だったんですね」という重盛の言葉がこの事件の肝なのかな。

ラストの三隅の微笑みと交差点に佇む重盛のシーンで、結論はどちらの方向へも進めるという事、逆に、進むべき道を見失う不安を表しているようだった。
人間心理を撮るのに是枝裕和監督に並ぶ人はそういないと思う。面白かった。
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