ナガノヤスユ記

三度目の殺人のナガノヤスユ記のレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.2
尖ってますねー是枝監督。
恐ろしく鋭敏な現代法廷劇。
真相を不明瞭にしたオープンエンディングな法廷劇自体は決して新しいものではないけど、ポスト真実の時代の混迷がそのまま画面に焼き付いているというか。
物語の焦点である対象の、虚実を弁別することは実質不可能であり、それを「器」(鏡面)として、周囲のキャラクターが鏡像への同一化を経て自己を認識するみたいな、クラシック映画の時代から繰り返されてきた試みに、最前線の監督たちが引きつけられているんだなあ。上手い下手は別として、同日に見た『民生ボーイと狂わせガール』もまた、そういう一面は多分にあるわけで。
めちゃくちゃ硬質な流動ゲルのような本作は、とりあえず窓とガラスの使い方が極まってましたね。たしかにデジタルの画ではあると思うんだけど、最後の被告人と弁護人が一枚の中に共存するショットとか、、ねえ? ただ、シネスコの画角はちょっと持て余してるなと思ったけど。