ごまかしオジサン

三度目の殺人のごまかしオジサンのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
3.8
裁判を題材にした映画やドラマはたくさんあるが、その中でもかなり異質。

検察と弁護側の闘争、事件の真相を描くだけではない。
本当の"真実"は何なのか。
それをストレートに描くことなく、我々にその答えを委ねている。

ストーリーは、殺人犯の弁護士が事件の真相解明に向けて奔走するという、よくある話。
しかし、役者の演技力やどこか含みのある映像表現に、他の作品とは一線を画す監督のこだわりを感じた。

特に演技力が光るのは被告人役を演じた役所広司。
接見の度に言うことが変わる犯罪者特有の雰囲気や、それでいながら本当に心の底から真実を話しているようにも見えるサイコパスさを見事に表現していた。

しかし、法廷闘争における弁護側と検察側の思惑など、裁判部分も細かく描いている一方、この手の作品の肝となる"事件の真相"をしっかりとは明らかにしないため、最後までモヤッとした気分になってしまう。
そこが評価の分かれ目か。

何が真実だったのか、どうすれば正解だったのか。考えさせられる系の映画が好きな人は楽しめると思う。

1人の人間としては、正直ものが報われる世の中であって欲しいと思う。