Habby中野

ジュリエットの仲間のHabby中野のレビュー・感想・評価

ジュリエットの仲間(2016年製作の映画)
3.3
個は、たぶん人生において代替不可、絶対的主であり忘れても押し潰してもならない最も大事なもの。協調とは対立の反対語、一人一人が音を繰り出す演奏のように、個が他との関係性によって安定した波を起こすこと。全。集。誰か一人が乱れると、その波も崩れ落ちてしまう。
では“個”とはなにか。個は絶対ではなく相対なのか。相対的に押し潰される危うさを保ち続けなければならないのか。
ファッキングルーヴ/グループ信仰は崩れてしまってもういいよ。ぼくは音楽は好きだしバンド演奏は憧れる。一人一人、一瞬、一音、全体、波、音楽。でもこの映画を個による集の乱調、と捉えてしまう危うさを、現実に感じている。全体が個を掌握してしまう世界。そんなことならば、過ったグルーヴはなくていい。思いやれとは言わない。ただ、とっても簡単に言うと、調子に乗るな。
ジュリエットが少し笑ってくれた。なにも解決はしていないけれど、それでもそれで少しよいな、と思った。個と集の関係性、それは本当に息苦しくうっとうしくうるさくなんか微妙で、でもやっぱり本当は代えがたい良さもあって、それからやっぱり、ちょっと爽やかでいい。
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