生きた証とは
見守ることもできない、寄り添うこともできない、時間によって記憶までが薄れて「何か」に囚われてこの場所から離れられない。なんでここにいるんだろう?自分は誰なんだろう?
なんて虚しいお話なんだろう。
そう思ってたはずなのに、だんだん悲しくなって、最後はすごく愛おしくなった。
言葉は全くない。セリフもない。ましてや顔も見えないから表情も読み取れない。でも私には中盤から顔がぼんやりと浮かんでしまってしょうがなかった。ひしひしと伝わるその感じ。感覚と雰囲気だけで飲み込んでしまうのはシーツを被った幽霊役という役柄なんだろうか。違うよな、たぶん、ゆっくりとじわじわと私がこの映画に取り込まれていくような気がした。
自分が生きた証を残すために人は生まれてきたんだ、と誰かが言っていたけど「自分が生きた証」を自分じゃない誰かが覚えてくれて、残してくれている、それだけで生きていた価値はあるんだろうな、奇跡のようなことだ、きっと。