ニクガタナ

夜明け告げるルーのうたのニクガタナのレビュー・感想・評価

夜明け告げるルーのうた(2017年製作の映画)
3.6
精緻な絵画のような背景とディフォルメしまくるイキイキとろけるキャラアニメ。各々独立したアート作品みたい。相変わらずキャラ自身に影がなく、落ち影もない、背景とのなじみを気にしない独特のスタイルで、動きに特化した割り切ったスーパーアニメーション。集団ダンスシーンが50年代のトム&ジェリーのようなわくわくする動きで大好き。ルーが可愛すぎるがやはり「ポニョ」を、お父さんは「大トトロ」を彷彿とさせる。設定は今敏の漫画「海帰線」と高橋留美子の人魚シリーズを思い出した。古今東西の人魚ものを広く参考にしてるってことか?本作の目的は気持ちよく動かすことと見た。先に画ありきで動きを見せる為に思いついた見せ場を継ぎ接ぎしたような歪な脚本が残念。主人公のバンド仲間が終盤何したいのかよくわからず、救助シーンがダレる。「なんでもっと早く来てくれなかった?」と問うタコばあのセリフがもっとも。脚本、設定がいろいろいい加減で説明できないはず。もう少し詰めたらもうちょっと感動できそうで、名作になれた気がしてもったいない。湯浅さんに限らず、細田、米林と自身のスタジオを設けたアニメ監督達が受け狙いで作家性に合わないこと始めるのは良くない傾向だ。プロデューサーにしっかりして欲しい。
ニクガタナ

ニクガタナ