ニクガタナ

笑いのカイブツのニクガタナのレビュー・感想・評価

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
3.7
不器用な情熱が人生を拗らせる。
伝説のハガキ職人ツチヤタカユキの自伝小説の映画化。面白い。夢中になって観てて呼吸をし損ねて劇場で咳き込んで顰蹙買ったと思う。めっちゃ笑える訳でも泣ける訳でもないけど、人間関係不得意なツチヤの生き方に圧倒された。こんな面白い生き方、本人にとっては地獄だったのかな?深刻なシーンでもちょいちょい笑える。劇中何度か紹介されるツチヤのネタはなるほど納得の面白さ。才能もさることながら笑いに取り憑かれたまさにカイブツ。こんなに社会性なきゃチームプレイはそりゃ無理だな。ネタ作れなくても構成作家やってる元芸人の氏家に悪態をつく、つかれた氏家とのやりとりが見事。キャストがそれぞれ好演。主演の岡山天音はツチヤが憑依したかのようななりきりっぷりで驚いた。人は笑わずに面白いことを考えられるものなのかしら?松本穂香演じるヒロインとの関係も良かった。これが劇場劇映画デビュー作となる滝本監督、演出が的確。ツチヤの熱、岡山天音の熱、滝本監督の熱で出来上がったような熱い魅力。注目してた前原滉が氏家を演じててやっぱり良かった。菅田将暉、仲野太賀それぞれ好感度さらに上げるナイスキャラの好演。でもこの作品で一番好感度を上げたのはきっとオードリーの若林だと思う。私も自分の役は仲野大賀にお願いしたい。不器用で異常なほどの熱中具合がボクシング青春ものみたいな脚本だなぁと思ったら脚本家の一人に「アンダードッグ」原作・脚本の足立紳がいてなんか納得。好きなシーンが満載。孤高の天才ぶりが実録棋士青春ものの「聖の青春」をも彷彿とさせた。
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