こたつむり

泥棒役者のこたつむりのレビュー・感想・評価

泥棒役者(2017年製作の映画)
3.9
★ あきらめたらそこで試合終了ですよ…?

劇場の告知で気になっていた作品。
ポスターに写るユースケ・サンタマリアさんが「この映画は面白いよ」と言っているようで…。そして、実際に鑑賞してみたら…うん。期待以上に楽しめました。

物語としては、ある家に忍び込んだ泥棒を中心に描いたドタバタコメディ。勘違いが勘違いを呼ぶ前半は何も考えずに笑えますし、登場人物たちの過去を切り取る後半は思わず目が潤むことも。

いいですねえ。
難しいことを考えずに楽しめる作品は貴重ですよ。肩の力を抜いて、大らかな気持ちで臨んで正解でした。

ちなみに、この感覚。
何かに似ているなあ…なんて頭を巡らしてみたら、そう。三谷幸喜さんの初期作品を彷彿させるのです。確かに両者とも脚本の妙で魅せていくコメディ。原作が舞台劇であることも同じですね。

また、本作は配役も絶妙だったと思います。
おゆるりの童話作家に市村正親さん。器の大きさが光る主人公の彼女に高畑充希さん。空気の読めない訪問販売員にユースケ・サンタマリアさん。この御三方は別格ですね。一歩間違えればコントになりかねない展開に芯を通してくれました。

その反面、丸山隆平さん演じる主人公の“影の薄さ”は微妙でした。でも、後から知りましたが、彼はジャニーズ事務所所属(関ジャニ∞)だったのですね。なるほど。そりゃあ違和感を抱いても当然。いつもはキラキラとした照明の下にいるのでしょうからね。

まあ、そんなわけで。
笑わせようとする意識が鼻に付くこともありますが、見どころは脚本の妙。ゴロンゴロンと転がる展開に身を委ねることが出来れば楽しめると思います。ただ、いつも書いていますが、笑いのツボは千差万別。期待値は低めで臨むことをオススメします。

あと最後に邦画関係者へのお願い(僻地で声を上げても届かないと思いますが)。パッケージ化する際のミックスで、もう少し音圧を上げてくれると嬉しいです。やはり、映画館と違って自宅は雑音が入りやすい環境。小さい音や活舌が悪い台詞などは聞き取りづらいことがあるのです。一人で鑑賞するときはヘッドフォンを使えば良いのですが、家族と一緒の場合はそうもいかないので。
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