トーリターニ

羅生門のトーリターニのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
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原作は芥川の『藪の中』、そこに題名通り『羅生門』のテイストを織り交ぜてある本作は、芥川の作風に非常に似た「作り込まれた」感じを醸し出していた。「門」というものをここまで活かすか!と思わせる演出はさすが黒澤明と思わずにはいられない。


三船の、身体をやたらと掻く仕草は『羅生門』の下人がニキビを気にする動作のオマージュだろう。そこが『羅生門』のストーリーにおいて最もミソとなっている部分の一つであるし、それを『藪の中』に調和させたのは非常に嬉しいものがあった。

このような映画が65年前の大戦直後の日本で生まれたことが本当に信じられない。大学生のうちに観ておいて良かった。