ミヤサン

静かなる情熱 エミリ・ディキンスンのミヤサンのレビュー・感想・評価

3.7
エミリディキンスンは詩集をひとつ(か、ふたつ)しか読んだことがなくて、でもなんとなく好きな詩が多くて。
ほとんど家の敷地から出ずに生きてきた、くらいの知識で観ました。

まず、エミリの人柄が自分に通じるところがあってつらい。
自分の醜さが許せないから、他人の美醜にもこだわってしまう。
これ以上のしんどさを味わいたくないから「いまここ」から出るのが怖い、でも本当はここから連れ出してくれる誰かを待ってる。
自分のことは棚に上げて、世間や人の愚かさ・恐ろしさを潔癖なまでに嫌って、それを罰することで人を傷つけていることに気付けない。他人はみんな幸せに見えるから傷つけていいと、心のどこかで思ってる。

私もうすうす気付いてる、あんなに恐れていた「嫌な人間」になっていることに。

………なんだけど、兄の不貞の件に関しては本当に憤り…。奥さんが性に対して臆病だから満足できなくて、浮気相手は配偶者が性病でかわいそうで、それって「じゃあ仕方ないよね」になるのでしょうか…奥さんは傷付いていても…?
年を重ねても重ねても、恋愛と結婚とセックスについてはまるで理解できる気がしていないです。

いま、エミリディキンソンが評価されているとしても、きっと彼女のような生き方を「不健康で孤独で不幸せな女」と思う人はたくさんいるんだろうなあと思う…
ああ、なんか、「私この先どうなるんだろう」に囚われそうになる、なかなか私にはヘビーな映画だった。
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