静かなる情熱 エミリ・ディキンスンの作品情報・感想・評価・動画配信

「静かなる情熱 エミリ・ディキンスン」に投稿された感想・評価

Kazu

Kazuの感想・評価

4.0
ディキンスンの詩は過去に何作か読んだ事があったので、気になり鑑賞、
先ず、監督が独自のディキンスン像を提示する為にあえて生涯を忠実に描く事を避けたという事です。
勿論、この作品はドキュメンタリーでは無いので仕方ない面もありますが映画である作品は影響力が強く、彼女の印象がこんな風だと決めつけられては残念です。
しかしこの作品の中には彼女の多くの詩が朗読されており、全体が一冊の詩集本のようです。
彼女の生家で撮影されたとの事で映像、風景が素晴らしく衣装も時代に忠実に再現されています。
いつの時代も女性が生きづらい事は確かですが180年も前の時代を想像すると女性達が自分を貫き通す事はいかに困難だったかを思い知らされます。
作品全体としては美しく、詩とともに静かに流れる良い作品でした。
ちろる

ちろるの感想・評価

3.5
アメリカの詩人エミリ・ディキンスの半生を綴った伝記映画。
福音的思想の強い女子専門学校を出たあとから、命が尽きるまでの静かな生活を見せる。
彼女のことは正直あまり詳しくなくて、史実との照らし合わせとしては感想は書くことはできません。
ただ、この映画に書かれていたエミリの思想が本当だとすれば、個人的には気難しさの目立つ女性だったのだなと共感しづらい部分も多い。

他人の思想を常に受け入れず、家庭に収まる従順な女性はどこかで見下し、自分は妻のある男に想いを募らせても、兄の不貞は忌み嫌う。
女学校のキリスト教の福音的思想に疑問を感じ反発しながら女学校を後にしたが、彼女は生涯生家に住み続け、その土地からもほとんど出なかったというのだから、他の文学者と異なり自由な思想の持ち主ではない気がしてしまった。
内に内に感情を閉じ込めて、怒りと不満を言葉に紡ぎ、愛や恋という感情を敢えて複雑な形で表現していくことができる彼女の能力こそが唯一無二だったのかもしれないのだが、私は劇中の彼女のまどろっこしい言葉の表現よりも、この作品の中では、私は妹であるラヴィニアの真っ直ぐで包容力のある言葉にむしろ真理を感じてしまう。
だって、人間は混沌を持つ生きものであり、それを受け入れながら生きていくしかないのだから。
そんな自分も他人も認めながら、ゆるしながら生きなければいけないから。

作品として、自己矛盾を受け入れられないまま、徐々にシャットダウンして朽ちていくエミリの苦悩を見せていくつもりであればある意味正解だった気がするけれど、エミリの内なる情熱というものを感じるには至らなかったのは少し残念。

しかし、この時代のアメリカの中流家庭の生活やファッションを丁寧に再現しており、少し薄暗い光の演出も含めて、静かで上品さの漂う作品でした。
あんず

あんずの感想・評価

5.0
人生には詩が必要な時がある。
自分の心の宇宙の奥の奥を揺さぶりたい時、触れたい、表現したい、理解したい時、
詩の力に頼る。

ジェイン・オースティン、ブロンテ姉妹が好きな自分にはストライクな題材だったし、物静かで落ち着いて、説明過剰じゃない映像造りもすごく好きだった。
くみん

くみんの感想・評価

4.2
よかった。ほぼ室内劇、南北戦争前後の世の中の雰囲気、信仰の強要、奴隷制度への批判、女であることの不自由さ、自由を求めて生きるには頑なに為らざるを得ない苦しさ、家族のあり方。

いま世界で起こっていること。ミネアポリスでの警察官による黒人殺害を発端に、人種を超えて差別に対する抗議行動が止まらない。日本とて同じ、特に世界でも稀なイジメ社会である日本では自分たちが気づいてないけれど偏見と差別に満ちている、この時代から実は何も変わっていないのではないかと、黒人と言われる人達はもう何百年もこの悲しい現実と闘っているのだと、そんなことも思いながら観た。黒人が出てくる映画ではなかったけれど。

それにしても衣装が素晴らしかった!首の詰まったワンピースに木綿のレースとか、黒に白が映える。広い庭に花々が咲き乱れ、詩をしたためた手紙は糸で真ん中を縫ってブック型にして。夜は暖炉の燃えるリビングで本を読んだりろうそく灯してピアノを弾いたり、刺繍や編み物。

ささやかに生きる者として孤高を貫いたわけだけれど、家族の結びつきは深く、最期まで寄り添った輝くような笑顔の妹の存在が心に残る。
19世紀、南北戦争時代に生きた詩人のエミリ・ディキンソン。

今からたった130年前の話なのに、人々はローソクの明かりで生活をし、家族に看取られながら家の中で亡くなっていく。

そんな今のこの時代とはかけ離れた生活の中で、世間のしがらみやそして宗教からも自分の魂を頑なに守り通したからこそ、後世に語り継がれる素晴らしい作品が残ったのだと思いました。

そんな彼女の人生の後半は、引きこもりの生活の中で孤独から段々と精神のバランスを欠いていくようになります。

そうした彼女を支え続けたのが、なんだかんだとお互いの生き方についてケンカをしながらも、最後の最後まで寄り添った兄妹達との関係性がよかったです。

それにしても、変化球のみの高尚なる会話の凄さよ!💦💦💦

出てくる人々の語彙力の凄さに"ぴえん"なんて言ってるばやいでは無いな…😅と思いました!💦
“We outgrow love, like other things / And put it in the Drawer―”
愛も服と同じように着古され
引き出しにしまわれる
いつかアンティークとなり
祖父の軍服のように懐かしまれるまで
Me

Meの感想・評価

-
彼女の中に自分に似たものを見てしまった。何より映像がとにかく美しくて、その中で生きる人々のやるせなさや僅かな喜びにとにかく惹きつけられた。うーん、あんまり評価高くないみたいだけどわたしはとっても好きでした。セリフ回しが詩的なのも良きね〜



兄貴は許さんからなお前ふざけんなよ
il

ilの感想・評価

3.9

淡々と、美しい映像によって物語は進む。
彼女の精神性に何度も共感した。

些細な日々のひとコマが彼女の感性のなかでどういう風にとらえられていたのかが少しだけわかる。

尖りすぎた高潔さで、どれだけ生きづらかったかがありありと映し出される。
そしてそれに折れずに闘う姿も。

全く触れた事もない彼女の詩に、
彼女の崇高さと聡明さを理解する事が出来るだろうか。

ヴィニーの愛深さが素敵だった。

よい映画でした。
seriFil

seriFilの感想・評価

3.1
史実に沿っているのかもしれませんが、終わり方が苦しくて、例えば彼女の好きなユーモア風味の辛辣さと率直さに合うような、強くスパッと終わらせることはできなかったでしょうか。絵はとてもきれいでした。特にはじまりの寄宿舎でのシーン。
Yamaha

Yamahaの感想・評価

3.3
詩のための映画のよう。所々ボイスオーバーで読まれる詩は、監督の解釈で挿入してるのかな?
I’m nobody の詩を赤ちゃんに読み聞かせているシーンは、特に不思議な解釈に感じた。帰属意識のない新生児に、この詩を読むのか。

ディキンソンの言動がコミカルに描かれていて、少し違和感があった。消え入りそうな文字で書かれた彼女の詩しか、知らないから。

彼女の宗教観については、学ぶことが多かった。厳格なピューリタンの家庭に生まれ、confession を拒んだ彼女だけど、発言は神を冒涜するものではなかった。救われるために神を信じる、信じるものはルールに従う、というような、宗教構造に対しての反発だったのかな。これもただの監督の解釈に過ぎないのかもしれないけど。

大衆に分かりやすくディキンソンの詩を紹介した、というレビューがあったけど、たしかに良い入り口にはなるのかもしれない。
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