emily

ママたちのemilyのレビュー・感想・評価

ママたち(2015年製作の映画)
3.8
 久しぶりに父親が帰ってくるということで、母親は浮かれてお香をたいている。しかし父は女と子供を連れて帰ってきた。悲しむ母をただ見つめるアイダ。その苦しみを感じ同じように泣き、思わぬ行動へ出る。

 高層アパルトマンには規則正しい窓が並んでいる。家族はその一部屋で暮らしており、そこに父が連れて帰った愛人と子供にアイダは部屋を取られ、赤ちゃんの泣き声に悩まされ、静かにしかし確実に仕返しを実行していく。母の涙、母の怒り、それをただ見ている、そうして感じている娘。母が泣く姿を見て彼女も涙を流す。しかし娘は何も言わない。しかし浮かび上がり澄んだ瞳の中には確かに怒りと不穏が漂い、それは観客の感情と一体化していくのだ。不穏な空気が漂う家族の中で、ただ無邪気にいつもと変わらない態度の兄。それは無意識なのかもしれないが、場の空気を和ませ、兄なりの気遣いのようにも思える。家族に笑顔が流れ、仲介人のように良い効果を与える。

 アイダのとった行動がママであることの重みと共通を自然と描写し、子供を思う気持ちが中和を与えていく。再びアパルトマンの外観が映り、同じように規則正しい窓の作りを静かに映す。その一室に家族の住む家があり、その家族が増えても、何も変わらないことを記す。二人人が増えてもそれが彼らの家族であり、その枠組みは何も変わらない。そうしてアイダもいつの日かママになる日がくるだろう。その時にはきっと立派な母親になるだろう。。
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