回想シーンでご飯3杯いける

オン・ザ・ミルキー・ロードの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

2.7
エミール・クストリッツァ監督作品を観るのは「ライフ・イズ・ミラクル」に続いて2作目。今回は3つの史実を題材にした架空の物語なのだそうで、ファンタジー色が強めで、ストーリーも演出も、より自由な感じがする。

登場する人間と動物の数が同じぐらい?という独特の世界観や、戦争の対比として鮮烈に描かれる動物達の生命観、戦時下でありながら音楽と宴を忘れない人間の本能、、、、現実的な社会規範に縛られないクストリッツァの表現が「ライフ・イズ・ミラクル」以上に冴え渡っている。

ただ、主役として出演しているクストリッツァの俳優としての力量には疑問を感じた。戦争で心神喪失という事なのだろうか、それにしても表情が一辺倒で終始猫背。彼を囲む2人の女優が快活で魅力的な事もあって、なんだかもどかしく感じた。もうひとつ気になったのが、動物の死や鮮血を象徴的に描く手法のあざとさ。プリミティブでしょ、独創的でしょ、というアピールが聞こえて来そうだ。結局のところ、クストリッツァとクストリッツァを愛する人達が作った、クストリッツァを愛する人達の為の映画という印象が強い。