黒川

サスペリアの黒川のネタバレレビュー・内容・結末

サスペリア(2018年製作の映画)
1.8

このレビューはネタバレを含みます

多分僕はダリオ・アルジェントという監督を神格化している。大体の彼の作品は観た。4匹の蝿もジャッロもドラキュラもそりゃないぜと思いつつ、もう彼のファンなのでトンデモ展開が醍醐味だとすら思っていたし、なんだかんだ好きだった。新作のサンドマンだって、アナウンスが中々ないが、まだ公開してくれるという淡い期待を抱いて待っている。
リメイク映画だって嫌いではない。オリジナルからリメイクを観たり、遊星からの物体Xのように、それと逆のこともある。ブレードランナー2049なんて最高だった。でも本作は自分向けではなかった。多分アルジェントが好きすぎるのが一つの要因だろう。

本作も大筋はオリジナルと同じだ。アメリカ人ダンサーのスージーがドイツにある有名舞踏団のオーディションに参加し、見事入団を果たすが、この建物には何か秘密がある。という内容にヴェム・ウェンダースのピナ・バウシュドキュメンタリー、キャビン、悪魔(1922年製スウェーデン映画)、最終的に夜と霧(映画じゃなくて本の方)がぶっ込んでありました。欲張りすぎんか?
オリジナルへのリスペクトもある。ゴアや残酷描写も申し分ない。ダンスシーンは圧巻だ。トム・ヨーク(というかレディへ)好きだし彼のスコアは中々良かった(でもゴブリンの圧勝)。では何が悪かったかというと、わからない。マジでわかんないけど、俺好きじゃないわこれっていうやつ。でも理路整然と説明していたくせに、突然視聴者置いてきぼりにするラスト数十分がまあ本家以上に凄い。オリジナルの耽美性に現実味で返そうとしたら失敗した感ある。ウド・キアがいなければどうなるのって言いたくなる本家だったけど、あの演出むしろ大正解だったんじゃ。ずっと説明も何もなしに殺しまくって殺しまくって殺しすぎやろでも綺麗〜って言いたくなる本家VSここまでちゃんとしてるのに最後どうしてああなったのっていうリメイク。一応三部作の三姉妹も絡めてたのになんかもうなんなの。あとスージーの実家なのかドイツのどっかなのかわかんねえあの演出。あれなに?駄目なリメイクだから嫌いなんじゃなくて、この造りだから苦手なんだ、この映画。77年当時の時代背景が反映されたかのような舞踏集団の内部構造っていうのもわかるし、男排除したのも意味わかるんだけど、直喩すぎんか。なんか余韻がない。わかりやすいようでわかりにくい。なんだったの。なんで途中からフランス語で会話始まんの。サラが言ったようにアイツらの手に落ちた表現なの?え??やっぱ何だったのあれ。リメイクだからじゃねえ、この映画が苦手なだけだコレ(大事なことなので2回目)。

評価するならジェシカ・ハーパーちゃんがちょっと見られるところと(わかりはするけど割と意味不明演出だったけど)クロエちゃんをあんな使い方するところですね。ティルダ様をあんな使い方するのすげえ。

パンフレット読んだら監督とティルダ様がめっちゃオリジナルサスペリアが好きって書いてあったんだけど、好きすぎて二次創作外伝になったロブ・ゾンビ版ハロウィンと、リスペクトするあまり監督の個性が死んでいたイーライ・ロスのグリーンインフェルノを思い出した。有り余るリスペクトがきっとこうやったんや!とかやっぱ原作のこの部分は大事ですよねって変に残してこうなった的なやつ。時代背景わかった上でもなんかやっぱ俺これ好きじゃない(3回目)。
黒川

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