Siesta

彼女がその名を知らない鳥たちのSiestaのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

日本映画のミューズ蒼井優が同じく日本映画を彩る阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊という多様な俳優陣と体当たりの演技でぶつかっていく 蒼井優、これで日アカ獲ってたのね トップレスのシーンがないからR15なんだろうけど、内容的にはR18でもおかしくないくらい
クレーマーしながら黒崎の幻影に囚われつつ、陣治とともに暮らす十和子 そこに現れる水島 この竹野内豊がめっちゃ吉田麻也 イケボずるいわ 陣治の登場シーンはたしかに嫌悪感を持ってしまうよな そりゃお金持ちイケメン黒崎の幻影を忘れられんよな 陣治の靴下脱ぎながら食べる感じ、清潔感のなさ、これが見事で、これがまたフリになって効いてくる 十和子には強烈な想い、狂気ともいえる愛を注ぎすべてを捧げる お金も渡し、十和子は仕事もしない マッサージはしてもセックスはしない というか、させてもらえない でも、それを受け入れているという でも、十和子は黒崎の幻影と重なる水島との浮気 蒼井優、声色の使い分けが凄い まあ端的にエロい 黒崎との不意のキス、逢瀬を重ねて、身体を重ねて 黒崎の薄っぺらさが素晴らしいわ 時計は3000円の安物、旅行先のエピソードも本からの受け売りそのまま 妻と別れると言って別れないし、外で会ったらフェ⚪︎させる 別の女性とも逢瀬を重ねていて この分かりやすいクズっぷりは水島が1番
そして、黒崎は行方不明ということが中盤で発覚し、差し込まれていた映像は全て過去の出来事だと分かる 電話のシーンの後から差し込まれるから、あえて会ってるの?っね少しミスリードさせる作り そこから真実へと十和子は辿り着く 黒崎は水島以上にある意味で害悪 じいさんに身体を売らせて関係を継続させて、という 顔が良いからマジでずるいんよ おじさんと数年ぶりに会うことも記憶を蘇られるトリガーになっていて
そして、水島を刺した時に自身の過ちのすべてを思い出す それを隠し通そうとしたのが陣治で 最も深く十和子を愛したのは陣治で そこから陣治と十和子の出会い、一途なアタック 5分、ベンチで話したいだけ、っていうのねぇ、優しいわ さらに引越し、すき焼き あぁ、靴下はその伏線でもあったのか、と 初めて十和子を笑わせたのが靴下で顔を拭くというところで 十和子は男に騙され、貶められ、心を閉ざした過去が語られ、陣治との関係の答え合わせがされていく ただ、それは理解できないレベルの深さの愛で 陣治は十和子の罪を背負い、お前の子どもになる、と自殺する ここまでの全てを捧げる陶酔は、「BROTHER」の寺島進以来 胸糞、バッドエンド、イヤミスみたいな風に言われるみたいだけど、最後は割と救われてるんじゃなかろうかと思う まぁ自殺だからあれだけど、自殺→回想→自殺っていう見せ方だから、突然自殺で置いてかれる展開ではない気もするし 何より最後の、陣治、私の唯一の恋人、って結構ストレート過ぎるくらいのセリフがあるし これはこれで良いけど、映画にしては分かりやすく説明的な気がしなくもなくて 原作ではどうなんだろう
あと、正直、今作はAVみたいな趣の部分ある でも、この読めない情緒というか、日本文学の破滅的なストーリーと描写はなんだかんだ好きなんだよなあ そこのみにて光り輝くとか あとはソフトな愛のコリーダというか 白石和彌監督作の中でも、結構、異色作の1本なんじゃないかな ハードなサスペンス系、バイオレンス系が多い中、この歪んだ愛っていう作品は でも、やっぱり最後に全てが答え合わせさせられていく、“仕組まれていた”っていうあたりは、監督っぽいよなぁと あと、タイトル、どういう意味なんだろう 最後の鳥が大量に羽ばたくのは雰囲気あるんだけど 意味までは汲み取れてないな あと、共感ゼロではねぇな そこまで、“遠い奴ら”じゃない むしろ、共感しちゃったらヤベェ系だと思う
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