千年女優

バトル・オブ・ザ・セクシーズの千年女優のレビュー・感想・評価

4.0
ジェンダーに対する封建的な考え方が色濃く残る1970年代。集める観客の数は同じなのにも関わらず女性選手への報酬が理不尽に低いことに反発して女子テニス協会を設立したビリー・ジーン・キング。トッププレイヤーとして新時代を牽引する彼女が、ベテラン選手ボビー・リッグスの挑戦を受けて男女対抗戦に臨む様を描いた伝記映画です。

女子テニス界最高の立役者として世界中から尊敬を集めて現在ではレズビアンを公表する実在の人物の伝説の試合を、『リトル・ミス・サンシャイン』を成功させたジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリスの夫婦監督で映画化した作品で、エマ・ワトソンやスティーブ・カレルら力のあるキャストの熱演が多くの識者から賞賛されました。

男女対決を描いた物語でも単純な勧善懲悪の構造とはせず、其々に異なる葛藤を持つ愛すべき人物同士の対決として演出していて、それでいてきちんと「敵」は準備とカタルシスにも余念はなく、複雑な問題を大衆に愛される娯楽劇で描いています。世界を前進させる者と世界を敵に回しても人生を生きる者、各々の生き様が心を打つ一作です。
千年女優

千年女優