かず

羊と鋼の森のかずのレビュー・感想・評価

羊と鋼の森(2018年製作の映画)
3.9
"才能はものすごく好きって気持ち"

公開日初回鑑賞です。

普段全く目にすることのない、職業だったり、スポーツだったり、そのようなものに陽が当たる。
映画ならではの良さですよね。

山崎賢人演じる、外村は高校時代にピアノ調律師、板鳥に会った事をきっかけに、将来をピアノの調律師として歩んで行くことを決める。
外村は様々な人々と出会う事で、調律師として、人間として成長していく…
そんなストーリー。


まずこの作品でとても印象深いのは、山々の木々達。青々とした草木、冬空の下寂れた草木。揺れ動く草木は同時に外村の心情をも表現している。綺麗だ。

そして、ピアノの音。
劇場で流れるピアノの音楽が心地よすぎる…知ってる曲が流れるだけでテンション高まるんですが。
ピアノで奏でる音が好きな方なら、是非聞いて欲しい。
作品の中で、無音の静寂の多さがピアノの音色を際立たせます。

ピアニストは孤独で、その1人を全力で支えるのが調律師。
調律というのも様々な段階を経たものなんだな…と。
同じ「ラ」の音でも、明るい暗い、響き具合、全てが異なる。ピアノの繊細さに改めて驚かされる。

自分のやりたい事をそのまま実現できる人はどのくらい居るのでしょうか?
覚悟を決め、苦労、様々なものにぶつかりながら、成長していく…
人間は誰かの支えがないと生きていけない事、改めて感じます。

鈴木亮平さんの演技が個人的に刺さり、上白石姉妹の演技も良かった…

この作品は展開など、そこまでの波がありません。人によって評価が異なるのはその点の感じ方でしょう。

"ピアノを食べていくんだよ"
このセリフで笑ってしまったのは本当に申し訳ない…だがジワジワ来てしまった。

音の美、風景の美、東宝からのアート系作品は珍しいようですが、非常に良いものです。

主題歌の「The dream of the lambs」
本当に良い曲です…ヘビロテ中。

疲労に満ちた金曜日の朝が、日頃より良いスタートになりました
かず

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