Emma

メアリーの総てのEmmaのレビュー・感想・評価

メアリーの総て(2017年製作の映画)
4.0
エルちゃんが演じていたので、思わず彼女の目線でメアリー頑張れって思ったけど、パーシーの妻のハリエット視線で見たら、この2人の駆け落ちの物語はあまりに酷すぎるよなあと思いながら見ておりました。

そして、メアリーに降り注ぐ度重なる苦悩や悲劇に、少しばかり意地悪な視点かもしれませんが、やはり因果応報ってあるんだろうなという思いを禁じ得ませんでした。

しかし、メアリーはその苦悩の中でこそ、あの傑作フランケンシュタインを生み出せたのだから、人の人生は実に数奇なものだと思います。後悔などないと言い放ったメアリーの最後のシーンでは、彼女の人間としての逞しさを感じました。あのシーンではまだ18という設定ですからね!どんだけ濃い人生なの、、昔の人って、、凄い、、

自由恋愛を謳い分かり合えていたはずのシェリーが自分の義妹のクレアと怪しげな視線を交わす様子とか、夜に扉の向こうで声を潜めあっているのを複雑な思いで見ているメアリーを見ていて、自由恋愛なんてそんなのよほどの覚悟がなきゃ人間には無理よ〜!と思いました。(わたしも絶対無理無理。)あんな声高に自由恋愛最高〜と言ってたパーシーだって、バロン卿や医者がメアリーに近づいたら、嫉妬を垣間見せるし。

人は愛を独り占めしたい生き物なのだと思います。そのことがよくわかる1本です。

実際の人物のその後の歴史を調べたら、メアリーは50代で亡くなりますが、それよりはるか先にパーシーは事故で28才(たしか)くらいで他界、メアリーに誠実に接した心優しき医師も鬱病で自殺、クレアがバロン卿との間に授かった娘は幼くして命を落とすなど、悲しい事実がいろいろと出てきて、考えさせられました。

あれだけパーシーに振り回されたメアリーがパーシーの死後、誰とも再婚しなかったのは彼女が夢に向かって突き進むことを決めたからなのでしょうか。はたまた、駆け落ちという当時では家柄に泥を塗るような経緯を経て結婚した過去が再婚を難しくさせていたのでしょうか。メアリーの人生についても、もう少し知りたくなったので今度書籍などでも調べてみたくなりました。
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