Machi

イット・カムズ・アット・ナイトのMachiのレビュー・感想・評価

3.3
原因不明の病が蔓延する世界。森の中の館に引きこもり、息を潜めて生活する一家のもとに、ある日一人の訪問者が現れた…。

ホラーと思って借りてきたけれど違った。どちらかと言うと移民問題を意識した社会派サスペンスな内容。パッケージに書いてある極限心理スリラーという表現が的確。ラストシーンのえっ?感が強烈なので賛否両論は分かれそう。

淡々と地味に進む本編はストーリーを期待して見ると肩透かしを食らうかもしれないけれど、描写が丁寧で役者の演技もうまく、段々引き込まれていく。何かが起こるわけではないのに、主人公一家の視点で見ている観客も徐々に不信感に蝕まれてしまう演出がいい。

どっちなんだ、結局何だったんだ。答えは明示されないが、真実を推測するための材料は劇中に散りばめられている。ハッキリと物語の種明かしをしないのは、意図的なものだと思うが、何とも言えないモヤモヤ感が残るのも確か。
友人とああだこうだ言いながら観たので楽しめたけれど、一人で気軽に観始めるとしんどいかも。

原題『It Comes at Night』は秀逸なタイトル。先の見えない、真実が分からない闇の中からやってくる負の感情。
伝えたいことは良く分かる、だけどもう一度見るのはちょっとキツい作品でした。
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