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ドント・ブリーズ2のMachiのレビュー・感想・評価

ドント・ブリーズ2(2021年製作の映画)
3.9
町外れの一軒家にひっそりと住む少女と盲目の老人。ある夜男たちが訪れたことで、その平穏は壊される…。

前作は低予算ながら巧みな演出が光ったホラー作品。いつの間にか続編が出ていて驚いたのだけど
、あの前作からよくこれを作ったなと更に驚き。サスペンスホラー的な一作目とは打って変わって、アクションスリラー的作品へと路線変更。色々と大味な部分はあるけれど、一難去ってまた一難、飽きさせず98分にまとめてあるあたり非常に好感が持てる。

前作でも感じたことだが、『盲目』という設定の使い方が巧い。序盤、ただ家の灯りが点いただけで少女が異変を察する演出は感心した。音だけでなく、触覚を駆使して戦うやり方も現実味は薄いが面白い。元軍人vsただのチンピラという前作に対し、今回は元ネイビーシールズvs元軍人とどちらも戦闘力が高いので、アクションはそれなりに見応えがある。盲目を活かせる状況とそうでない状況での有利不利の入れ替わりなど、アクション部分が前作の二番煎じになっていないのが良い。

どちらに肩入れすれば良いのか分からないシナリオは相変わらずだが、今回は無垢の少女という存在が全面に立っているので、感情移入もしやすい。

主人公となった老人は前作の所業故に共感しづらい部分はあるのだけれど、孤独を何よりも恐れるという部分を強調して物語に説得力を持たせようとしていたのが個人的には好みのポイント。
絶望に打ちひしがれた老人を奮い立たせたもの。自身が完全に孤独であることを知らしめた事件。あの場であれを発見しなければ、物語はそのまま終わっていたかもしれない。

正直無理があると感じる部分はある。前作は舞台が老人の独壇場であったからこそ成り立っていて、そこを離れてのアクションはいくらなんでも無茶すぎる。順に明らかになる事実も、シナリオありきの非現実的さは否めない。

それでも、孤独を恐れるあまり道を踏み外してしまった老人の物語として筋が通っていて個人的には楽しめた。最後のアレはなくても良かった気がする。流石にもう続編はないと思うのだが…。
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