とある孤島に灯台守として派遣されたウェイクとウィンズロー。衝突を繰り返す彼らだが、嵐により島に閉じ込められ……。
洋画好きの友人と雑談中「ロバート・エガースはラース・フォン・トリアーやアリ・アスター並に頭おかしいから是非見て!」と熱烈に(?)勧められて視聴。
これは、、、確かに言わんとすることは分かる。こだわりが伝わってくる執拗な画面づくりや過激なカットはそれっぽい。
ただ、本作は映画を見たというよりもロールシャッハ・テスト(インクのシミをどう見るかというアレ)の映像版のような印象を受けた。監督が何かを表現した作品ではなく、観客が自身で物語を広げるための素材を用意したという感じか。
物語はあってないようなものだが、淡々と進む中に印象的なカットやアイテム、意味深なセリフや設定が詰め込まれていて、ありとあらゆる解釈の可能性が感じられる。
ラストカットの時系列をどこに置くかによって解釈がひっくり返るし、終盤で明かされる二人の共通点を重視すると、そもそもの設定が変わる。
モノクロな画面によって景色から時系列を追うことも難しく、ウェイクとウィンズローどちらに肩入れするかによっても物語の見え方が変わる。
煙に巻くだけの作品とも言えるが、とにかく考察のネタ、引っ掛かりが多いし、ストレートに見ることもできるので意味不明になるほどの空中分解もしていない。特に主演の二人が素晴らしく、ロバート・パティンソンの陰鬱な雰囲気とウィレム・デフォーのギラつく眼光は作品に重みと力を与えている。(ふたりとも何気にとんでもない演技を披露しているし…!)
考察好きな人間同士なら見た後でああだこうだと盛り上がるのではないだろうか。
とはいえ、自分は物語に浸りたいのであって、本作が好きかどうかというと…。
実験的な尖った作品として評価されているのはよく分かる。
前作もそのうち見てみようかな。