不幸な電車事故で妻を亡くした軍人マークスのもとに、数学者のオットーが現れる。事故は偶然ではなく、とある反社会組織の仕業というのだ。そこから彼の復讐劇が始まるのだが…。
最高。過去見た作品の中でもトップクラスに好き。シンプルな復讐劇として始まりながら、個性的なキャラクターと独特な空気感と、そこそこハードなアクションで物語は進む。
アクションと思いきやヒューマンドラマ多め。時にシュールにコミカルに、時に思い切りエモーショナルに展開する物語に目が離せない。
誰しも何かを持っていて、根っこのところが同じだったからこそ惹かれ合うものがあったのだろう。必要以上にクドくせずにサラリと流しながらも、人物造形に十分な説得力がある。
現実味のない設定のキャラクター達が非常に生き生きした生身の人間として感じられる。
復讐ものでありながら、あまりストレスを感じさせない作りになっているのも良い。安易にストレスからの開放によるカタルシスに頼らず、人物の掘り下げによって観客の感情を揺さぶるという描き方が、単純な復讐ものとして見ていた自分に直球で突き刺さった。
この作品に出会えて良かった。2022年のマイベスト。
