山に魅せられたとある登山家のドキュメンタリー。命綱なしで断崖絶壁を登る若き登山家の事実を美しい映像で描き出す。
事実であることが何より素晴らしい。
氷山の断崖絶壁を、単身最低限の道具で登る。登山家本人のポリシーとの兼ね合いで、おそらく撮れ高は少なかったのだろうが、それでも合成でも特殊効果でもない現実に広がる大自然を高性能カメラと高い撮影技術で収めた映像は見るものを圧倒する。
登山家マーク・アンドレ・ルクレールは単身で命綱もつけないフリーソロスタイルで世界中の難所を克服してきた。名声を求めず、ただ登る無名の彼の情報を撮影班が得たことから密着取材がスタートする。
映像だけではなく、ドキュメンタリーとして非常にうまくまとまっている。本人に加えて、周囲の人間にも丁寧にインタビューを行い、その人となりを追っていく。
登山という世界に触れたことのない自分にとって、異世界を覗き見たような新しい感覚を得た。
