タイの田舎町でとある霊媒師のドキュメンタリーが制作されていた。女神を宿す巫女とされる彼女の周りで、不穏な出来事が起こり始める。
予備知識ゼロで視聴。
ドキュメンタリー風のインタビューから始まり、淡々と物語が進む。タイの田舎というかけ離れた環境が装飾抜きで映し出され、その生々しい映像は特殊効果などなくても十分な密度と迫力がある。
中盤から一気に畳み掛けてくるが、その振れ幅が極端に大きくてそこまでやるかという感じ。このやり過ぎ感はきっと邦画や洋画では出せない。
めちゃくちゃやるだけやっておいて、最後のワンカットで含みをもたせ、テーマを匂わせる構成。後半のPOV的ホラーシーンはしつこさ、やり過ぎ感があるけれど、怒涛の勢いで押し切っている。
普段触れるホラーにはない独特の空気感を楽しめるという点でかなり貴重な作品ではあるが、正直なところあまり好きになれなかった。
ホラー作品にこんなことをいうのもナンセンスだが、個人的に不快なシーンが多すぎた。あからさまなグロや残酷シーンは少ないのだけれど、どうも各所で不快のツボをついてくる。
POVかつモキュメンタリーということで、作り物らしさが徹底的に排除された結果、不潔感と生々しさが強く感じられる。もちろんそういう狙いなのだろうが、やりたいことを詰め込みました的なクライマックスと合わさって、やりたいことをやってるだけだなと少し冷めた目で見てしまった。
とはいえ、女優さんの演技力は素晴らしいし、ラストカットは印象的。見慣れないものを見られるという意味では良い作品かも。
