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火花のoldmanSEヨKのレビュー・感想・評価

火花(2017年製作の映画)
2.5
【ネタバレなし】原作未読。
約2時間、二人のゆくすえが気になってスクリーンから目が離せませんでした。

ただ…終わってみればありがちな話というか…お笑い芸人ではないパターンで今まで観てきたフツーの青春(青年)あるあるモノ?だった感じです。

原作が、芥川龍之介賞受賞し三島由紀夫賞候補作にもなっていたということで、一体どんな作品?と思っていたんですが…。

又吉直樹のお笑い論=人生論的な作品でしょうか。

芸人話といえば、自分にとってはビートたけしや伊集院光がラジオで自身のことや彼たちをとりまく若手芸人のお腹がよじれるほどの話、たけしさんではたけし軍団、伊集院さんではブレイク前のアンタッチャブルなどのエピソードのような”芸人”という人種の逸話が、又吉直樹もしくは監督の板尾創路の語り口で楽しめるのかな〜と想像してましたが、今作はそちらではなく好きな事を生業とすることのシリアスな苦しみに比重がおかれていたように思います。

もちろん芸人的なコトは結構してましたが、笑わせるという撮り方でもなかったように感じました。
あるシーンではまさに泣き笑いで、そこの役者全て複雑な感情の芝居をしてたり。
全体的にはウェットな印象でしょうか。
笑わせる時には笑わせて、泣かせたい時には泣かせるというメリハリのある作り方を敢えてとらなかったのかもしれません。

原作者と監督が、まさに今その世界の真っ只中の人達なので、その業界の雰囲気や生活、舞台裏や袖の芸人の心理状態などの描写は真実味を感じました。

この映画ではあくまで徳永(菅田将暉)視点なので、神谷(桐谷健太)や真樹(木村文乃)の方の視点の含みも、ステレオタイプ的役割を与えた手抜きをせず、観ているこちら側に想像させる余地がさりげなく入ってたのが上手いと思いました。

作品そのものとは別に、音質という技術的なことでセリフ(役者の声)の音の抜け具合が悪いように感じました。残念。
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