ただのすず

ふたりの旅路のただのすずのレビュー・感想・評価

ふたりの旅路(2016年製作の映画)
3.8
異国のラビリンス。

神戸と姉妹都市、ラトビアの首都、世界遺産にも登録されているリガ旧市街が舞台。

阪神大震災で大事な人を喪い、時が止まったままの女。有り触れた、どこにでもいる夫婦の話。私は、この二人のお芝居とラトビアが観たかっただけ、だったのに予想以上にお話が良かった。

童話から抜け出たような美しい建造物、石畳、宮殿、美術館、温かみがある街並みなのに、夜に迷い込む映像、雑踏ではなく黒留袖の女が一人でふらふらとする、大勢人がいても、どこまでも孤独。
生と死のあわいの黄昏時に路面電車の線路を横切っていくシーンが好き。

何度も繰り返すぼんやりとした今、突然フラッシュバックする過去、動かない未来。ストーリーの組み方が面白い。桃井さんの独白と相性が良い。映画の魅力。

20年経ってどうして今更、死んだ夫が現れたのか、どういう心持で生きてきたのか、止まった人の心はどうやって動き出すのか、ちゃんとわかる。台詞ではない、普通の夫婦の言葉、喪失した人の重みのある言葉だった。何度も繰り返し聞いた。ラストが素敵。


美味しそうなものが沢山でてくるのも良かった。