Yukenz

きみの鳥はうたえるのYukenzのネタバレレビュー・内容・結末

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

将来や未来ではなく「いま」を楽しく過ごす事が生きることと感じている若者たちを描く。「まあ、何とかなるんじゃない」や「そんなに熱くなるなよ」が基本思考。

男2人に女1人の共同生活、しかも1組は既に関係を持ちもう1人の男はそれを知らされておらず、かといって知らせようとも知ろうともしない状況となれば、普通に考えたらいずれ関係性は破綻するものと分かると思うのだが、3者とも不感症のように(?)受け入れている。

こういった刹那的な生き方は幼少時代からの環境が影響しているのか。真面目に働く親の姿を見て、将来や人生について話し合っていれば、自分自身の行動や思考も自然と親のそれに重なっていくものだと思う。反対に親が生活にズボラだったり子に無関心だったりすると、その影響で短絡的な思考になってしまうというような気がする。

自由奔放で感性に従って生きる様子は、将来はまだまだこれからという若者の特権のようで羨ましくもあり、一方でそれはアリとキリギリスの御伽噺と同じなんだとも思ってしまう。

最後に「僕」が佐知子に向かって叫んだのは、ようやく本当の自分の気持ちに向かい合い気持ちが熱くなって出た本心で、彼が初めて見せた姿だった。いつまでも続くと思われたいま(言い換えたら青春だろうか)から決別して将来を見据え大人への一歩を踏み出したということか。
佐知子はまだその境地には至っていないようにも見えるが、どうなんだろう。
後から思い起こすとこの終わり方が何とも絶妙で、この先をあれこれと夢想してしまう。
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