ただのすず

オールド・ボーイのただのすずのレビュー・感想・評価

オールド・ボーイ(2003年製作の映画)
3.9
かわいそうな15年監禁おじさん。

主人公、チェ・ミンシクの魅力!
情けない泣き笑いのような表情が最高、思わず頬に手を添えて抱きしめたくなるおじさん。
リメイク版からぶっ続けで観れたのはこの人の演技力。
どこにでもいる小太りでひょうきんで冴えない男。でも何をされてもどうしても憎めない人は一定量いると思う。まさにそれ。身から溢れ出る魅力、計算して作り出せるものではない思った。

復讐者はがらんどうだった。心にもはや誰も何もいない。
復讐の理由を知っても何も響かなかった。ただ哀しいだけだった。獣のような人間でも生きたいと思える理由があるだけましだと思えた。
例え歩いた雪原が真っ赤に染まるような道だったとしても。

赤い血と緑の背景のコントラストが毒々しくて美しい。
韓国映画独特の笑い待ちのような間がツボに入る。
哀しみと笑いが同居している、あてはまる言葉を持ちあわせていないのが悔しい。

女なので、性的な衝動の前では、父性愛も何もかもが一色淡にされてしまうのはどうしても不快感が残る。男のロマンかと思って観続けた。
もやっとしたものが晴れたら他の作品も観たい。