むらむら

ピザ!のむらむらのレビュー・感想・評価

ピザ!(2014年製作の映画)
5.0
設定は「小僧の神様」のインド版。

チェンナイのスラム街に住む二人の兄弟。貧乏ながらも活発に暮らしているところ、スラムの近くに初めてのピザ屋が開店。石炭1キロ拾って5円もらうという仕事で食いつないでいる兄弟にとって、400円もするピザは超高級料理。でもなんとか食べたい!と思って奮闘していると……。

それにしても、「BTTF2」のレンジで巨大化するピザから「パラサイト」に至るまで、映画に出てくるピザってのは、なんでこんなに美味しそうなんだろう。ポン・ジュノは、「TOKYO!」でも蒼井優にピザを運ばせていたし、ピザってのは何か、「渚にて」のコカ・コーラに匹敵する象徴性を獲得している気がする。リア充的な。

なので、話は資本主義の象徴であるピザを中心に展開。お婆ちゃんがドーサ(南インドなのでチャパティではなくドーサが主食のパン)とピーマンでピザらしきものを作ろうとするエピソードとか、声を出して笑うほどではないにせよ、心温まるシーンが沢山ある。

作品の舞台、南インド東側のチェンナイには一度、足を運んだことがある。

オーロヴィルという世界最大のエコ施設で瞑想体験するのが目的で、それはそれで忘れがたい体験だったのだが、チェンナイの海岸で、夕暮れ時、無数のインド人と夕暮れの涼しい時間を一緒に過ごしたのを強烈に覚えている。

日暮れと明日は、僕らみたいな観光客にも、スラムの人たちにも平等に訪れる。その中で、今日という一日を、明日の希望のために生きることが出来るのか? 忘れがちな問いかけだけど、この兄弟のひたむきな態度を通して、そんな小さなことが重要なんだ、と感じた。

コメディとして笑えるか?ってのは疑問だけど、観たあとに何かが残る映画でした。

近所のチンピラ二人組、ダチョウ肥後と佐藤蛾次郎のコンビがいい味出してる。
むらむら

むらむら