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アトミック・ブロンドのshinのレビュー・感想・評価

アトミック・ブロンド(2017年製作の映画)
4.0
冷戦スパイアクション。
ジャンルとしては超メジャーで、今さらなんでまたと思うかもしれないが、そのアクションはリアル路線で硬派、絵作りも現代的でスタイリッシュ。まさに今、スパイアクションを撮るなら、こうあれかしという良作。

敵に追われ、逃げ込んだ映画館で戦うシーンでは、その背景となるスクーリンでタルコフスキーのストーカーが上映されている。超常的な波紋が広がる水の表現の中でシルエットが格闘をする印象的なシーン。波紋による紋の中で戦うロレインは水の中でもがいているような感じで、見ているこちらまで息苦しくなってくる。
ある記事によると、超常現象が発生する「ゾーン」で願望器を探すストーカーと、リストを探すスパイが重ねられているとのこと。

このシーンも含め、どこかで見たことがある絵が多いなぁと思って調べてみたら、監督は『ジョン・ウィック』を共同で監督している、「デヴィット・リーチ」だった。アクションの動きやテンポ、ネオン系の赤と青の光がこの2作の絵の共通した特徴となっている。

エンディングテーマはクイーン&ボウイによる『アンダープレッシャー』。
「ちょっとストレートすぎるんじゃないか⁉︎笑」と思ったりもしたけど(考えてみたら冷戦時のスパイがこの世で一番ストレスフルな仕事なのでは?いつも命狙われているし、上司は無茶言うし、投げ出したら第三次世界大戦始まっちゃうし。)、冷戦下において様々なものに押しつぶされそうになりながら任務を果たすスパイを描く映画のエンディングにふさわしいと思う。特徴的なベースラインと共に幕が降りるラストがめちゃカッコいい!
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