ベルギー、オランダ、フランス。
ナチスドイツに蹂躙されていくヨーロッパ。その脅威はイギリスへと向かっていく。
これは戦争映画ではないし、シーンのほとんどはチャーチルとその周辺人物のやりとりで埋められている。だけどイギリスというかつての覇権国家が、言いようのない弱気さと焦燥に見舞われている様子は、ヒトラーの恐ろしさを鮮明に感じさせます。
ナチスとの和平を望む議会、閣僚。
戦わなければならないと主張するチャーチル。チャーチルは孤立していく。
でも決して孤立無援ではなかった。チャーチルの背中を押すものは確かに存在していた。民意こそ力。
「君達はいつ学ぶんだ?
この先何人の独裁者にすり寄って、やりたい放題させるつもりだ!!」
チャーチルの言葉は力強い。戦えば、負けるかもしれない。大勢死ぬかもしれない。
じゃあ戦わずして、不平等な和平を結んだらどうなる?和平という名の降伏では、主権は守られやしないだろうということ。
英国の民意は死に、ナチスの傀儡政治が始まり、ウェストミンスターやバッキンガムにナチスの″鉤十字″がはためくのを、許せるのかということ。
今世界で起きている現実を考えれば。
常識の通じない「暴虐者」と対峙した時、なぜ我々は戦わねばならないか。
その大切さを示唆されているような気がします。