“『スチームボーイ』以来のモヤモヤ感”
製作脚本ピータージャクソンのスチームパンク系SFアクション。
移動要塞都市と壁で隔離した世界の人々との生存戦略をかけた戦いと平和が核となったストーリー。
黒光りする鋼鉄と蒸気を感じさせるメカニックデザインの数々、そして古代文明遺跡的な造形の街並みや山脈荒野などなど、全ビジュアルにすごくこだわりを感じるし、とてもカッコいい。
ただ…ただただ、そこにキャラクターの魅力がついて行ってない印象を多大に受けた。
アクションパートにしろドラマパートにしろ、主人公の男女に攻撃力や図抜けた閃きがほぼ見られない。
むしろメタリックな中ボスやリーゼントの好戦的なお姉さんなどサブキャラの方がキャラが経っていて応援したくなる。
大きな破綻はないけど、爆発力もない。
スチームは焚かれてるけど、いまいちパンクしてない。
つまらなくはないし、造詣に深いこだわりは感じ取れるんだけど、刺激に欠ける。
この感覚はまさに大友克洋『スチームボーイ』を観たときの歯がゆさと瓜二つ。
アイデアとパーツパーツは良いのに、全然突き抜けてない。でもみれないわけではない苦笑
許されるなら、薄味のラーメンに店主に隠れて醤油と塩胡椒かけてカスタマイズするように、何かを自分仕様に変えたくなる歯痒いバランスの作品でした。