TaichiShiraishi

孤狼の血のTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

孤狼の血(2018年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

圧倒的熱量、ただ仁義なき戦い風の邦画を今作ってみましたじゃ済まない凄みがある大傑作だった。

まず暴力、残酷描写の容赦なさがすごい。普通は間接、省略描写で済ませるものを徹底的に見せる。

オープニングの豚の排泄から始まり、指切断、真珠摘出、腐乱死体、水死体、死ぬ直前までの殴打、頸動脈切断からの便器に転がる生首まで全部しっかり見せ切る。そんじょそこらの生温い映画とは気合いが違うのが一目でわかるし、ヤクザ世界の容赦なさ、残酷さがひしひし伝わってくる。

それに伴うキャスティングも役者の演技もハイクオリティでとにかく脂ぎった男たちの濃〜い顔がスクリーンに所狭しと並んでて最高だった笑

役所さん、江口さん、石橋さん、瀧さん、トモロヲ、おまけに伊吹吾郎まで出てきて、竹野内豊が脇役に見えてしまうくらいの特濃ベテラン陣の中で全く引けを取らない我らが松坂桃李は本当に素晴らしい。
勝手にユリゴコロモードと呼んでるのだが、彼が目に狂気を宿し出したらもうその映画は当たりと言っていいだろう笑

キレて豚小屋の跡取りを殴りまくるところの顔とかヤバかったなぁ。笑

中村倫也の小物に見えない鉄砲玉っぷりも最高で電話ボックスにボロボロになって座り込んでる姿の格好良さがたまらなかった。

そして広島弁とヤクザ映画の親和性はやはり高い。
仁義なき戦いの笠原和夫脚本がかつて広島弁のシェイクスピアと呼ばれたように会話がいちいち心地いい。
「わしら極道は顔で飯食うとるんで!」みたいなセリフの仁義なき戦いオマージュもあったけど
「警察じゃけえ何をしてもええんじゃ」
「マル暴になるってのは綱渡りの曲芸師みたいなもんじゃ」

など新たなパンチラインもあって
魅力的。

その他、小道具を使っての意思の継承や、阿部純子の異常な可愛さなどいいところだらけだったけど、気になったのはナレーション演出。オープニングで昭和風のナレーションが入った時は「仁義なきっぽくて最高!」って思ったんだけども、なんかナレーション入るタイミングに法則性無くてどうしても説明に困ったりしたら出してるみたいでちょっと白けてしまった。

それでも21世紀の極道、警察汚職モノの中ではズバ抜けた映画なのは間違いない。願わくば年1でこういうヤクザ映画が観たい。
TaichiShiraishi

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