回想シーンでご飯3杯いける

はじまりのボーイミーツガールの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.9
日毎に視力が落ちてしまう病気を患った少女と、彼女に思いを寄せる少年の初々しい恋を描いた、フランス制作の青春映画。

所謂難病もののようでありながら、実はそうじゃない。少女が恐れているのは失明ではなく、それによって音楽学校への進学を諦めるよう周囲に説得される事。少年は少女を慰めるのではなく、視力が衰えている事が周囲にばれないようさりげなくエスコートする。全体にカラッと明るく、そして音楽的なのも良い。少年が趣味で組んでいるエレクトロ風のバンドも、実際にフランスのインディー・レーベルから出ていそうな感じの音でツボだった。

2人の設定は12歳。この年齢だと女子の方が大人びているのはフランスも日本も同じ。だけど、彼女をサポートする事で少しずつ「男」へと成長する、まさにその瞬間をとらえた、実に眩しい青春映画に仕上がっている。奥さんとの別れで傷心だった少年の父親の再生をサブストーリーとして組み込んでいるのも心憎い。

それにしても邦題が酷いね。