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ブライトのマーチのレビュー・感想・評価

ブライト(2017年製作の映画)
3.3
「クリスマスイブ🎅🎄🤶」ではありますが、私は相変わらず季節感を意識しない投稿です。笑

夏に殺戮サンタクロース🎅映画のレビューを投稿したので、良ければそちらをご覧下さい!笑


【レビュー】

《差別と信念》

Netflixオリジナル映画作品としては最高額の制作費が投入された(100億以上)今作は、監督を『フェイク シティ』『エンド・オブ・ウォッチ』といった警察モノの名手デヴィッド・エアーが務め、『クロニクル』『エージェント・ウルトラ』でお馴染みのマックス・ランディス(脚本)が『バッド・バディ!』に続いて送り出すバディムービー作品。

配信という長所を活かし、規制を取っ払った高クオリティの作品を数多く生み出してきたNetflixが、メジャースタジオに肩を並べようと巨額を費やした意欲作である今作は、ド派手なカーチェイスや銃撃戦の際のライティングの巧妙さから存分にデヴィッド節が感じられ、時にシリアスさに水を差すユーモアだったり『スーサイド・スクワッド』の系譜を感じる脆さが漂いながらも、“バディムービー”としての根幹をしっかりと捉えているファンタジークライムアクション映画です。
所謂“ウィル・スミスもの”として地上波で度々放映されている大作と比べても遜色無いほどの出来栄えではあります。

人間、オーク、エルフ、フェアリー、ドワーフなどの9種族が共生するロサンゼルスを舞台に、ロス市警初のオーク警官ニック(ジョエル・エドガートン)を相棒とする人間種族のウォード(ウィル・スミス)が、何でも願いが叶う魔法の杖 “マジック・ワンド” を持つ謎の少女に出会ったことで、ギャングや警察など様々な組織から追われることになるというストーリーなのですが、まず世界観が特殊なので慣れるまでに時間がかかるのはしょうがないですね。凡ゆる耳慣れない用語が飛び交うので事前に調べてから観るのも1つの手ですが、それほどその側面が深掘りされることはないですし、9種族全て登場するわけではないのでオークと人間👨とエルフ🧝‍♀️の関係性だけ分かっておけば充分だと思います。

かなりウォードとニックのバディにフォーカスした作品となっているので2人の掛け合いが次第にクセになってきますし、熱い友情が繰り広げられる展開には思わず胸を打たれます。
ウォードの真っ直ぐなキャラの良さもさることながら、ニックがピカピカの1年生並みにウキウキして憧れだった警察官の職務を全うしている姿が可愛くてたまらないのも見所です。


レビュー題にもした〈差別と信念〉が今作の重要なテーマになっていると個人的に感じたので、特筆しておきます。

〈差別〉
今作の世界では社会の階層構造がはっきりしており、エルフ🧝‍♀️が凡ゆる面で優遇されている中、人間は中間層、オーク族に至っては人間からもイジメられ煙たがれる存在である最下層に位置しています。そしてそれは同時に現実社会における人種差別問題を描いており、ファンタジーにすることで重苦しくならず、間接的に鋭く問題に斬り込んでいるのです。
人と人(今作ではオーク)との付き合い方は種族や階層などでは測れず、心を通わせて通じ合い、正面から向き合うことによって初めて本当の価値に気付くのだという現実においても未だ払拭されていない問題に対して丁寧に描かれていました。

〈信念〉
ウォードは偏見や圧力による差別の助長に手を貸したりしない人としての在るべき姿(諸事情により殺人を犯していますが、そこは目を瞑りましょう。笑)の体現者であり、一度自分が殺されかけたことで家族を守るための強固な信念を持った真っ直ぐな存在。
ニックは新任警察官として組織の歪みにまだ染まっていないが故の純粋な信念の持ち主であり、偏見の渦の中での自分(オーク)の立ち位置を理解しているからこそ真っ新な状態では生きていない。
そんな警察官や人として違った信念を持つ2人が互いにぶつかり合いながらも最終的には同じ方向を向いて奮闘する姿にグッとくる瞬間が後半には待っています。


ノオミ・ラパスが強い姐さん的役どころで『スーサイド・スクワッド』のハーレイ・クイン並みに活躍してくれるのは非常に嬉しいし、生き返りによる強さも感じられるのですが、ノオミ姐さんは本来もっといけるはずです、もっともーーーーーっと強い役を誰か与えてあげて下さい! ノオミ姐さんはまだまだこんなもんじゃないはずです!! (なかなかアクロバティックな動きをしていたので生き生きしていて良かったんですけどね。)

あとエルフの少女“ティッカ”の服装がオーバーオールで謎の和みポイントがあったのも良かったです。謎の緩さ。笑

エドガー・ラミレスは澄ましている姿が結構クールで、まだまだ魅力を兼ね備えている感じでしたね。


シナリオの薄さというか突き抜ける面白さが無いのが残念でしたし、いっそのことドラマ化してウォードとニックのエピソードを深掘りした方が面白い気がします。また、ファンタジーの要素が必要だったのかという部分も気にはなりますし、本来それだけ尺取らないと伝わらないのかなと感じるシーンがいくつかあって引っかかりを感じましたが、新しい世界観で描かれている腐敗した社会のギャングたちのかっこよさやアクションのキレの良さ、音楽のノリの良さは一見の価値がありますし、バディムービーとしてはかなり熱いので、Netflix民の人は年末年始のこの機会に、是非ご覧下さい!!


【p.s.】
外装の『ズートピア』っぽさと造形の『ハリー・ポッター』『ロード・オブ・ザ・リング』っぽさ、マジック・ワンドのライトセーバー感はあります。ちなみにウォードはライトセーバーがダークサイドでした。笑

結構過程がグダグダですし、最後のあっさりした感じとか逃げ回ってるパートの長さもあって微妙な感じではありますが、ウォードとニックのバディはもっと観ていたいと思わせられます。

続編も進行中らしいですよ♪


【映画情報】
上映時間:117分
2017年 アメリカ🇺🇸/Netflix オリジナル作品/監督 デヴィッド・エアー/脚本 マックス・ランディス/キャスト ウィル・スミス/ジョエル・エドガートン/ノオミ・ラパス/ルーシー・フライ/エドガー・ラミレス
/はるか昔から人間と他種族が共存してきた世界。警察官として働く人間ウォードとオークの相棒ジャコビー(ニック)は、巡回中に謎の少女と出会い、魔法の杖“マジック・ワンド”の存在を知ったことから地球の運命をも揺るがす巨大な事件に巻き込まれてしまう。
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