叡福寺清子

ファースト・マンの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
3.7
作中のエド・ホワイトの台詞「息子の視野がひろがっていくんだ」
本作を象徴するよき言葉でございます.こんばんわ三遊亭呼延灼です.
ジェミニ計画から月面着陸まで,その全てのプロジェクトにおいて搭乗者の中心人物だったニール・アームストロングの物語.そして何度失敗を重ねても,ときには尊い人命を犠牲にしてもその歩みを止めなかった開発者の物語でありました.ソ連には負けたくねぇという大国の意地と政治的優位に立ちたいという思惑があったとしても,「人類を月面へ運ぶ」という大志を掲げ,完遂まで邁進する姿は観ていて胸アツ案件でございました.工業高校や大学の工学部には必須の視聴覚教材であると文科省には強く推薦したいものであります.
とかく感情的になりがちな技術開発過程を淡々と処理する演出と,感情表現を抑える演技が得意なライゴズとの組合せは「ベストマァッッチ(CV: 小林克也)」であります.実際のアームストロング氏が,場合によっては融通の効かないと評されるほどに生真面目な性格だった事も意識されての演出でありましょう.にしてもライゴズは影が似合いますなぁ.
存在感といえばアポロ打ち上げや月面着陸に代表される技術映像がリアルっぽいのも楽しかった.実際どれほどリアルに近いのは存じませんが,ジェミニ8号とアジェナのドッキングシーンで美しく青きドナウが流れたのは言うまでもありません.