くりふ

プリベンジのくりふのレビュー・感想・評価

プリベンジ(2016年製作の映画)
3.0
【極悪マタニティ・ブラック】

2016年のイギリス産、劇場未公開物件。

お腹の胎児指令に操られるまま殺人を繰り返す妊婦…て話でとりあえず、スプラッタ時代の『ベイビー・ブラッド』を思い出し、借りてみたが、コチラは英国らしき陰湿含み笑い含むサイコホラーでした。

うえ、この辛気臭いオバチャンがヒロイン?と出だしで萎えたが、この脇役顔アリス・ロウが脚本監督兼ねており、なんと妊娠8ヵ月で、10日と少しで早撮りしたとか。

ちょっとした狂気だが、恐らく自分自身の鬱屈が、まんま物語に反映されてしまったのではと。ちょい生々しすぎて、もう一括り、ユーモアで包んでくれないと胸やけ酷すぎる。

タイトルは妊娠+復讐、の意らしい。夫…になる予定の男が殺された!復讐せよとお腹が騒ぐので、創意工夫を凝らし殺しまくるヒロイン。妊婦ならでは(笑)の殺し方が、面白いっちゃ面白いが、標的の選定条件曖昧なまま進むので、自然と気分が悪くなる。

物語が終わっても、事件の真相はよくわからない。よく取れば、そこにマタニティ・ブルー…ってかブラックなんだけど、絶望妊婦の含みを込めたようです。

最後にヒロインが“我に返る”瞬間が怖いっちゃ怖いが、結末はスッキリしないし、トーンは不快だし、ヒロインはブス…あわわ、お顔の不自由な方だし、で満足度は低温気味。バカ映画でなかったですが。

英国のひねた女性が撮った映画と如実にわかる所は、スゴイ!(笑)

あと、ヒロインの心情補足らしく参照される映画が、『アンダルシアの犬』みたいな描写でレトロホラーかと思ったら、『情熱なき犯罪』(1934)というノワールで、俄然興味湧いてしまった。こんど見てみます。

<2020.11.13記>
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